男性読者視点の「東京タラレバ娘」早坂さん
東京タラレバ娘について、感想を書こうと思う。
今回感想を書こうと思ったのは、最新刊(7巻)のオチがあまりにも衝撃的で、書かずにはいられなかったからだ。
というのも、早坂さんの描写について、逃げ恥で語られた「呪い」の男性版を感じだからだ。
男性側一個人の意見として、参考にしていただけると嬉しい。
イントロ
最近新刊が出て、いよいよクライマックスという感じになっている「東京タラレバ娘」。
年頃の女性から多大な共感を得ていると話題で、実際多くの人がこの漫画について言及している。
「幸せな結婚」を願うことは悪いことではない。けれど「結婚だけが本当の幸せ」あるいは「結婚しなければ幸せになれない」なんて1種類のゲームをプレイする義務はない。
東京タラレバ娘はドラマ「逃げるは恥だが役にたつ」で言う「呪い」を作っている側なのかもしれない
余裕のある人が読むと、こういう感想になるんだなぁ。
http://www.kojirasehanako.com/entry/2017/01/05/073000www.kojirasehanako.com
女性からの厳しい指摘
彼女達、問題から逃げすぎじゃないの??
自分のことでいっぱいいっぱいで人の気持ちが見えてない。
女性の感想、アラサー女子に共感!とか言われてる割には十人十色の千差万別である。(バンザイ多様性!)
だが、男性目線の記事は少ない。
ざっくりと刺さる指摘、男性読者は悪趣味らしい・・・。
もちろん、女性の気持ちを表現するところは、しっかりと言語化されていて、男子としてはとても勉強になります。
それな!!!!結構個々の関係について話してて、大変面白い記事。
一番最初に挙げたブログを以前読んだ時に、「男性はこの物語を女性の自業自得の物語と読んでしまう」みたいなことを書いていたけど、そうでもないんじゃないかなと思った。
じゃあ実際にどういう感想を抱いているのかを、今回は形にしてみた。
東京タラレバ娘の、男性読者の心が知りたい人の参考になると嬉しい。
タイトルが男性読者視点とか主語が大きいけれど、男性一読者の個人的感想である。
ちなみに途中から若干ネタバレを含むので、見たくない人は途中退出して頂くと良いと思う。
アラサー女子がやばいって話だけど、アラサーアラフォーオタク男子も大概じゃない?
最初に思ったのはこの感想である。
今のご時世、30歳になっても大した収入がないことも考えられるわけで、そうすると、結婚は女性が男性の収入を当てにしてする面もあるわけだから、そういう需要からは外れてしまう。
収入ボーナスで多少のオタク趣味やヤバイ考え方には目をつぶってくれるかも・・・とか甘い考えでいると、結婚できないで嘆く人になるのは我々男性も同じではないか?
(ちなみに作中の女性たちはある程度経済的に自立しているので、収入を当てにしているわけではなく、そうすると余計にオタク男子なんて対象外のカメムシみたいな感じなんだが)
そもそも、女性との交流機会少ないし、全然交際スキル上がってないから更に婚期逃しそうじゃない?
彼女たちはタラレバアラサー女子に至るまで、ある程度交際経験があるのに、男オタクはアイドル追っかけてたり引きこもってゲームしてたらそういう能力が1ミリも成長しないまま30代40代に突入する可能性もある。
そうして、そういうことわからないまま会社の悪い先輩の真似してセクハラとかは一丁前にしてるかもしれないのだ?救いなくない?
タラレバ娘は可愛く面白おかしくやれるかもしれないけど、オタク喪男のコミュ障婚活とか、相当のサクセスストーリーにしないと見てられないよ。
というか絶対時間かかるし、サクセスまでの道のり長いよ。
そもそも、タラレバ娘と行き遅れ男性はあまり違いがないと思う。
仕事に集中して恋愛どころじゃないっていうのは男性も女性も同じ状況に陥ると思うし、出会いがないっていうのも同じ
仲の良い同性の友達と慰め合いながらバカやれるのも同じ
同じだよ!細かいところは違うけど、いつかこういう状況に陥るかもしれないって恐怖感は同じ!
なので、別に「女の自業自得」の話とは全く思わなくて、普通に、「寂しいけど忙しいしそれどころじゃないからいいや」って放っておくと、私もいつかこうなるんだな、というのが読んだ時の素直な感想だった。
(ネタバレ含む)早坂さんになんの恨みがあるのか
(注意:以下ネタバレを含む)
東京タラレバ娘の第1話は、主人公の倫子が23歳の時に、同じ会社のADの早坂という男を振った話から始まる。
早坂は意中の倫子を食事に誘ったまでは良かったが、慣れないので恐らく女性向け雑誌とかでもてはやされているであろう「〇〇ディナーはここで決まり!△△の雰囲気抜群のお店特集!」みたいなのに載ってそうな店で一番いい店を選んだのである。
私としては至極納得のチョイスだった。
好意を抱いている人に失礼は出来ない+詳しくないので一番良いものを+喜んでもらいたい
の3コンボで選択された店である。
本当はここで事前に食の好みや好きなお店の雰囲気、好きなお店それ自体を聞いた上で、それを参考にして店を選ぶのが良いのだが、そんなこと初めてでできるわけがない
ただ、付き合ってもいないのに誕プレで指輪を渡すのは絶対やめたほうが良い。
無難にマフラー、手袋などを選ぶと良いかもしれない。
石鹸や香水は引かれたりするのでやめておこう。
さておき、その10年後に倫子はまた早坂に言い寄られているって思って、そこで倫子は早坂さんが出世して、見た目も気にするようになって、レストラン選びもこなれてきて、ワインにも詳しくなって・・・この人もいい人かなって思うのだ。
この展開、読んでて恐ろしくしんどい内容だった。
言いたいことはわかる、女性は男性にエスコートされたいし、見た目を気にしない男なんて論外で、収入が多いほうがよくて、遊びなれていて、そういう男性のほうが、自分をリードしてくれちゃう感じで憧れるよね
これって逃げ恥で言う「呪い」なんじゃないか?
男性への呪い
逃げ恥では、女性が男性から若さや美貌を求められているので、それを持っているうちに利用してしまおうという姿勢の女性が出てくる。
それに対して、石田ゆり子が演じる土屋百合ことユリちゃんは、そういう要求を「呪い」と形容した。
その呪いに縛られて、若さと美貌を失って苦しんでいるように見える人を卑下するのはやめなさい。あなたも歳をとればいつかそうなるのに、自分が惨めになるだけだ、と。
もっと自分の生きたいように生きろ、と
ここで男性に求められることを考える。
女性が求めるのは気遣いできて、身だしなみが整っていて、面白い人で、収入があって、そういう人じゃないと
という条件は、結婚という長期ライフプランを共に成功させるパートナーを見つけるという段階で見れば、必要なことであるというのはある程度納得できなくもない。
だが、これは女性からかけられる男性への「呪い」なのではないだろうか。
こうでなければならならい。という圧力は、「男性から女性」だけでなく「女性から男性」にもかかっているのだ。
(女性の場合は要求基準や、要求される場面が男性に比べて格段に多いということは断っておく。男性は諦められてしまったり見逃されることが多い。)
もっとどちらも自分に素直に生きて、その上で恋愛も自由にしてみればいいじゃないか、と思うのだが、仮にキモオタクが上記のような点を何も直さないで近付こうものなら、まず土俵にすら上がらないで振られて、下手するとコミュニティで噂され社会的に抹殺されかねない。
そういう恐怖感があって、男性はチャレンジをしようという気にはならない。
男性がそういう風に自由に生きるのであれば、もう「交際」という土俵に立つのは諦めた方が良いと言わんばかりである。
だから男性は呪いに従って、求められる条件を必死に満たそうとするのではないか。
早坂さんはそういう機会に恵まれたが、そういう機会に恵まれない人は、どうなってしまうのだろうか。
また、経験が足りない=若い人は呪いを十分に満たせなくて、異性に振り向いてもらえないかもしれない。
競争社会は世知辛い。
まあオタクがこんなこと言ってたら「キモい死ね」とか「非モテ乙」で片付けられるのは目に見えている。
こんなの人としての最低条件だよね、と言われかねないと感じる。
しかし、程度が違えど、男性と女性は双方に呪いをかけ合っているのかもしれない。
この呪いから抜け出すには、男女双方の呪いからの脱却が必要である。
一言で言うと、期待しすぎない。ということになると思う。
互いの欠点は認め合って、そこにはある程度目をつぶったり、お互いで欠点を克服できるよう支えあったり、二人で妥協案を探る。
そういう社会になれば良いのに、まあそう易々とはならないので、そういう考えの人を探すしかないのである。
とにかく早坂さんのことは、そういう男性側の呪いを感じさせてくれる良いエピソードだった。
で、最新刊でやっと、やっといい感じになってきたのに、イケメンには勝てないかもしれない・・・で終わらせるのはあまりに酷くない?
展開としては少女漫画っぽくて、すごく興奮するけど、本当次が楽しみですね。やっぱイケメンには勝てないんですかね?
「元カノに似ているから好き」と「美味しそうにご飯を食べる君が好き」だったら、女性はどっちが幸せになれるんでしょうね?
漫画なので夢のある終わり方でいいと思いますけどね。
まとめ
恋愛や結婚に危機感を持ちたいオタクはタラレバ娘を読むと良い
早坂は頑張ってる
お互いに呪いをかけ合うのはやめよう
おまけ
女性のいう「面白い人」について、以前書いたので参考までに
なんか早坂さんのことだけを書いていたら長くなったので、次の機会があれば別の登場人物について書こうと思う。