オタクをはなさないで

オタクの恋愛観や、オタクコンテンツについて書くブログ

「誠実な人」という生存戦略

tl; dr

  • 恋愛市場において、誠実であるというメリットは(あまり)ない
  • 誠実な人間は上記を肝に銘じつつ、搾取されないように気をつけながら他の魅力を上げましょう

あらまし

自分いうのもなんですが、「誠実な人」とよく言われます。 友人からも、会社の360度評価でも、今まで別れてきた歴代の彼女からも、自分のマッチングアプリのプロフィールでも、自他共に誠実な人間をしております。

昨今「誠実な男」を求める女性の声を時折目にします。それを真に受けた私は「おっしゃ誠実さを売りにしたろ!」と思って今までもその戦略でパートナー探しをしてきましたが、今までの結果や昨今の風潮、女性の心理を考えるにこの戦略は間違っていたのではないか?という気持ちになりました。

今回はなぜその考えに至ったのか、言語化した上で再認識したかったので、まとめてみます。

なぜ「誠実さ」が求められるのか

大体下記の記事で既に述べられているので、そこから引用しつつ補足します。

男と女の釣り合い考──「女のつらさ」と「イージーモード」|琥珀色|note

と思ったら有料記事にされていて泣けます。 しょうがないので自分で書きます。読解力と記憶力が試されてますね。

ざっくりというと「良い人を独り占めしたいから誠実さを求める」という話だった(はず)。

人間はより良い人を求めるために様々な魅力でアピールバトル!をしますが、一度パートナー関係を気づいても、それがいつ破棄されるかは不明です。 上記記事では、特に男性と女性の生き物としての生存戦略の視点から

  • 男性はより多くの女性と子を残したい
  • 女性は優秀な男性と子を残し、育児のために男性のリソースを占有したい

という前提で語られていました。

性差から来るパートナー選びの趣向の違いから、弱者男性は上位女性と関係を持つことは不可能に近いが、弱者女性は性的なアピールによって強者男性に対して一時的な関係を持つことができます。 一方で、言い寄られた男性は別の女性に行動を移すことが最も最適な行動なので、これを行いますが、女性は対象の男性リソースを占有したいので、あの手この手を打ちます。しかし、性的なアピールでの一時的なブーストや、そもそも釣り合わない相手の場合、女性は結局パートナー関係を失います(もしくは永遠の二番手としてリソースを占有できません)。

これを避けるための手段として、昨今女性から叫ばれているのが「誠実な男であれ」という要求であるという考えが展開されており、私も概ね納得できると思ってます。

特に私が思うのは、上記の話は性差によって話が展開されていますが、単純に強者と弱者の話に抽象化できるのではないかということです。

例え話となりますが、女性は男性に比べて圧倒的に告白されるのが多いという状況は周知の事実だと思います。 これについて、告白された女性は付き合い始めた時点で既に強者の立場でありますし、決定権を持っているという点で強者です。 告白されてなんとなく付き合ったけど別れた、別れようと思ったけど彼氏に頼み込まれて踏みとどまった、みたいな女性の話を聞きますが、これは強者女性の振舞いなのかなと思います。

結局、弱者にとって強者の自分へのコミットを保証するために強者の「誠実さ」が男女ともに求められているわけです。

「誠実さ」は恋愛において全くポジティブな武器にならない

では恋愛においての「誠実さ」を考えてみましょう。

上記の通り、誠実さは「強者にとってあると良い」要素です。あくまで強者のオプション要素です。 よく女性は誠実な人が好き、といいますが、ただ誠実なだけの人間には正直言って何の面白味もありません。

誠実さはコミットメントを保証するものではありますが、そもそも提供される要素が魅力ないものであればコミットメントが提供されても受け取る側は何も嬉しくありません。

この点から、まず自分という商品価値をアピールするのであれば、「誠実さ」という「提供保証」よりまず商品価値を上げる必要があります。

そして、残念ながら恋愛においては「結婚」に求められるようなコミットメント要素も強くは求められません。

よって、恋愛においての「誠実」アピールはほぼ役に立たないと思います。私は今まで何をしていたんだ・・・。

「誠実さ」は結婚においても役立つとは言えない

ではコミットメント要素が求められる結婚においてはどうでしょうか。

こちらは一見、「誠実さ」が重要なパラメータとなる気配がありますが、自分は誠実さが「結婚関係を維持する」パラメータであっても「結婚関係の満足度」に寄与するパラメータではないと思っています。

言うなれば誠実さは対数の掛け算パラメータなので、0から1に上がるまではパラメータアップ効果が高いですが、それ以降はあまり上げても意味がありません。よって、それ以外の要素で相手にとって魅力的であり続ける必要があります。

仮に誠実さ以外の魅力が失われた中で、結婚生活を続けて果たして幸せなのでしょうか?多くの方々は面倒、子供が、世間体が、などの理由で離婚には踏み切らないと思いますが、そのような関係を少なくとも自分は望んでいません。

そもそも恋愛結婚が主流の昨今において、恋愛でまず勝たなければ結婚にたどり着けません。この点で、やはり誠実さをアピールする事で幸せな結婚に辿り着けるのかは疑問です。 誠実である前に、その他の要素でマッチングを完了した方が良いでしょう。 誠実であることをアピールするのは、関係を続けたい相手にすれば良いのです。 この点で、男に蔑ろにされて文句を言う女性の状況がよくわかります。つまり継続的な関係は望まれていないのです。ただそれだけです。

結婚生活を送るにあたり必要な要素は「安定」だと思います。この点において「収入」と「誠実さ」を持ち合わせた男性が婚活市場に置いては人気があるのは自然な事です。 しかし、その要素が買われて結婚して自分は何になるでしょう。

おそらくこれがATMの誕生だと思います。 そのような結婚は果たして幸せでしょうか?

「誠実な男」が増えない原因の一つとしての人々の振る舞い

誠実な人は何故増えないのでしょうか。様々な要因が考えられると思います。

ただ一つ思う点としては、「誠実」は性的な魅力ではなく、人間的な魅力であるという点があるかと思います。 人間はなんだかんだ理論的に振る舞っているように見えてもこと恋愛セックスの話になると如実に生存競争を本能で生き抜いていた頃の名残が姿を表してしまいます。 本能的に求める魅力は性的な魅力となりますが、「誠実さ」は理性的で人間的な魅力であるので割と後回しになりがちで、性的な魅力が優っていれば重大な問題が起きない限り見逃されます。

なので、本当は「誠実な人」なんていうのは誰も求めていないわけです。

婚活市場においては「誠実」が重要なステータスとなっていますが、それは婚活をするような状態の人間がかなりロジカルに考えざるを得ない状況に追い込まれているからです。 性的魅力より先に、人間社会のプレッシャーや自身のロジカルな思考に基づいて、安定したパートナーを一刻も早く手に入れなければならない、という状況に追い込まれ、ロジカルな損得感情が優先される結果、初めて「誠実さ」が重要ステータスとして上がってきます。

余談ですが、マッチングアプリなどで「自然消滅」する人は誠実であるかについて、自分は長らく悩んでいたのですが、「度胸はないが誠実である」という結論に最近達しました。この話はそのうち別記事に。

「誠実な人」はどうすれば救われるのか

ではどうすれば誠実な人は救われるのでしょうか。誠実な人は搾取されるだけなのでしょうか。

自分は誠実な人こそ、もっと自信を持ち下記の事をした方が良いと思います。

「誠実さ」以外の魅力を高めよう

上記の通り、誠実さはコミットメント保証であるため、それ以外の魅力をまず高めましょう。 ではどうすれば良いの、という話ですが、もっと自分の好きなことに打ち込んだり、私生活を充実させることに重きを置いてみてはどうでしょうか。 いろいろな事を経験し、話の引き出しを増やしたり、人を理解できるようになったり、筋トレとかも良いかもしれません。

「誠実さ」以外の要素で自分を好いてくれる人を探そう

これが最も重要であると思います。誠実さ以外での魅力を感じてもらえれば、そこに誠実さがプラスされてかなりの加点になるのではないでしょうか。 そのために、相手と話すときはもっと自分の事をアピールするようにしましょう。(もちろん相手の話を聞くことも大事ですが、節々でアピールできると良いですね)

「誠実さ」の良い価値を認識して、搾取されないようにしよう

上記で散々「誠実さ」を貶してきましたが、「誠実である」というのは誇るべき要素だと思います。

コミュニケーションのコストや、プランニングのコスト、また浮気されるかもしれない、と言った気苦労まで、あらゆる心的コストを削減して、居心地の良い存在として振る舞えるのは、一朝一夕では習得できないことです。 この事をしっかり認識しつつ、誤った相手にコミットメントしないように自分で気をつけましょう。

あなたの誠実さを搾取しておいしい思いをしている相手は、あなたに美味しい思いをさせてくれませんよ。 また、強者にあなたの誠実さを搾取され良い思いをさせてしまうと、強者は行動を改めません。

もし強者の「誠実さ」を声高に叫ぶのであれば、まずは誠実な方からアクションをとるべきです。 まあこの場合、弱者側も強者と共にいる事で得られるメリットが誠実さを求めるリスクを上回っているのでそんなことは起きないのですが、もしそうであるなら捨てられた時に相手の事を非難するのをやめろ。お前のその行動が一番誠実な人間を苦しめるんだぞ。

恋愛以外において、今のまま「誠実」でいよう

先述の通り、誠実さは「人間的魅力」としてとても大事な要素です。 なので、「誠実なのにモテない」などとひがまずに、そのままでいましょう。

おそらく、あなたが本当に誠実であるならば、友人が多かれ少なかれ仲良くやれていたり、職場でも気の合う人から大切にされているのではないでしょうか。 人と人との関係を保つために、胸を張っていきましょう。

結論

「誠実な人」は恋愛市場においてあまり価値がありません。 まずはこの事を自覚した上で、誠実さはそのままに頑張って他の魅力をあげましょう。

何で男女の恋愛はこんなハードモードなんでしょう。大変辛いです。