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20代男性が結婚相談所に入会して1年戦った感想 ~あるいは大人になるということについて~

お久しぶりです。

迂用曲折あり、結婚相談所に入り1年ほど活動をしてみました。 ちなみにまだ活動は続けております。

結婚相談所に相談しに行った話については、かなり前の記事ですがこちらをご覧ください。

dontleave.hatenablog.jp

この記事では結婚相談所での活動で感じたことを書きます。 個別の人がどうであったとか。そう言ったことはほぼ意味がないと思っているので書きません。

筆者のスペック/活動状況

フェイクは挟みますが書きます。 書く理由として、おそらく結婚相談所では登録者のスペックによって見えている世界が全く異なっているため、ある程度スペックの開示がないと状況が共有しずらいと思うからです。

スペック

  • 性別: 男性
  • 年齢: 20代後半(アラサー)
  • 年収: 同年代平均年収より大幅に上
  • 身長: 男性平均よりかなり低め
  • 学歴: 大学卒
  • 居住地: 東京

活動状況

  • お見合い申し込み数: 20
  • お見合い申し受け数: 200
  • お見合い実施数: 50
  • 交際数: 15(内直前での破談 3)

結婚相談所の問題について

結婚したい人が結婚相談所に来る

当たり前のことですが、結婚したい人が結婚相談所にきます。 この言葉の裏の意味としては「とにかく結婚という事実を最短で手に入れたいので、それ以外のことは気にしない人がくるべき」という意味です。

私の入っている相談所では、お見合いを実施してから 3 ヶ月以内にプロポーズすることが目標値となっております(最長6ヶ月)。この 3 ヶ月の間に恋愛関係になって退会するということはよっぽど相性が良くない限りもちろん不可能ですが、この3ヶ月で人としての信頼関係を築くということすらも、正直言ってかなり厳しいと感じました。

しかしながら、こういった信頼関係の構築なども全て飛ばした上で、スペックと12回(= 毎週末会うとして 4 回/月 * 3 ヶ月)の会合でプロポーズまで漕ぎ着ける覚悟を持っていることが、相談所の参加者には求められています。

一部界隈では 50 時間の壁という概念があり、要するに交際に発展するまで 50 時間は共に時間を過ごした方が良いという言説なのですが、結婚相談所では会って 3~4 回を目安に交際ではなく結婚への決断を迫られます。 また、最初のデートではお茶や半日デートなどが推奨されており、これ自体は私も守った方が良いという経験からの実感があります。 そうすると決断を下すまでには精々 20 時間程度しか一緒の時間を過ごしません。

このような短い期間で判断を下すということは不可能に近いので、ここで決断を下す意思決定力が必要となります。 この意思決定力を裏付けるのが「結婚という事実を最短で手にいれる強い意志」となります。

みんな割り切れない

一方で、自分が 20 代なため相手も 20 代~30 代前半であることが影響していると思うのですが、自分も含めこの点が割り切れない人が多いと感じました。 自分は女性から断られる理由に「なんとなく」というのが多かったのですが、おそらく恋愛的な感情が芽生えずに断られたのではないかなと考えています。

特に結婚に迫られていなければいないほど、なんとなくで相手を決めることが困難だと思うのですが、結婚相談所では「なんとなく」「タイミングがあったから」「条件」で決めることが必要な場所となっており、それを前提としたタイムスケジュールとなっています。

結婚相談所ではそのシステム上、期限内に恋愛感情を抱くまでに進める、というのはかなり難しく、もしそれを実現するのであれば積極性が不可欠であると思うのですが、後述の問題でそう言ったことも難しいという現実が横たわっています。

一方で、そういった感覚を捨てきれない、割り切れてないとなかなか成婚に至らないのではないかと思います。

おそらくこの問題にぶつかり退会していく若年齢女性も一定数(大体 20~30% ぐらい?)いるのではないかなというのが肌感です。 (注記: 相談所では不成立になった人たちの履歴が見れるのですが、表面上なんの問題もない女性が休会->退会となった数をざっくり数えています)

コミュニケーションの問題

上記の条件から結婚相談所での活動ではとにかくゴールまでの時間がありません。 そう言った中で、どのように相手との時間を捻出するのかといったところが「時間が足りない」といった問題を解決する鍵になると考え、活動されている皆さんは積極的にコミュニケーションをとることでこれを解決しているのかと入会前は思っていました。

しかしながら、そんなことはないというのが実感です。

そもそも、娑婆の世界での恋愛ですら高度なコミュニケーション能力を必要とするのに、それに敗れた人たちが集まっている結婚相談所の人間がコミュニケーション能力が高いはずがありません。 また社会人であるということも相まって、連絡が取れないという言い訳が簡単にできてしまう環境でもあります。 上記のような理由から、基本的にデート中の時間がコミュニケーションを取れる時間となり、時間が足りない問題は解決しません。

一方で、会員は複数の人間と並行して交際を続けていることから、別に良さそうな人がいればそちらに移るべきかもしれないという思考が働き、コミュニケーションが深まらないまま浅いところで関係を切ってしまうという結果につながることが多々あるのではないかと思いました。

では「最初から踏み込んで話を進めていけば良いのでは」「最初から積極的にコミュニケーションを取るよう打診してはどうか」と思うかもしれませんが、これは女性側が好まないことが多いです。 特に好意もない人間に頻繁に連絡をしたり、結婚後の生活などについて根掘り葉掘り聞かれるのは嫌だし気分も乗らないと思うので当然と言えば当然なのですが、このようなデッドロック状態が発生することが多々あります。

上記のような問題が、相談所での結婚をさらに困難なものにしていると感じました。 こういった問題はアドバイザーがアドバイスをし是正するものと思っておりましたが、そんなこともなさそうだなという感想です。

「試し行為」について

上記のような時間が足りないという問題を解決するために、結婚相談所ではある種の「試し行為」が推奨されています。 (注記: 一般に、相手を試すような行為をする人間は烏滸がましいですし、好まれないという前提とします)

例えば下記のようなものが挙げられます。

  • お見合いについては予約のできないカフェに男性が早めにつき、先に席を取っておくことが求められます
  • デートの際のお店の予約などを(主として男性が)実施しておくこと
  • 会話の中でおすすめの作品を勧められたときに、次回までに観ておくこと
  • デートでのお会計をすること(女性の場合、適当なタイミングで割り勘を持ちかけること)

上記はほんの一例であり、また上部の話で言えば、デートの時間をお互い楽しく過ごすために必要な行動であったり、お互いのことをよく知ったり、楽しく会話をする上で有効な手段であると思います。 また、短い時間の中でお互いに期待されることをしっかり実施できるということは「振る舞いを見てその人を知る」という点で、相手の信頼を得る方法であると思いますし、ある種やらざるを得ない事であると理解しています。 そして、これらの所作を自然体で行える人間を目指すべきと筆者も考えています。

ただし、こういった試し行為が男性にばかり押し付けられており、女性側から試されてばかりで、自然にできることでもこうも試され続けるとしんどくなってくるというのが正直なところです。 また、こちらがこういった行為を全て応えているにもかかわらず、女性から何もない時の虚しさはとんでもないです。 そして、こういったことを試し行為であるという認識を、女性側が持っていないなという点も大きいのではないかなと思いました。 この辺りの不均衡を崩せる人が、上手くいく秘訣の一つなのではないかと思いました。

(なお当然筆者は人を試せるような立場ではないと思っていますし、できれば相手を試すような行為はしたくないです。)

性交渉問題についてはそもそも性交渉以前の問題

よく結婚相談所の特徴として「結婚するまでの性交渉は禁止」というものがあります。 自分もこの点についてかなり心配だったのですが、実際に活動して驚いたのはおそらく多くの成婚者が「お互い性交渉に至るまでの気持ちの高まりがないまま結婚するのだろう」という点です。

もちろんそうではない方もいると思いますが、上記の通りかなり無理して結婚に至るシステムである故、条件的な話し合いなどはすることとなりますが、恋愛的な感情には至らないまま、信頼関係によってのみ婚姻契約を結ぶこととなります。

そもそも基本的には禁止事項であることから、禁止事項を打診している時点でレッドカードなので、この打診を行うのはかなりの博打となっています。 そのため、この辺りについては相談所内での活動で心配する必要はないと思いますし、この点が心配な人は結婚相談所で活動するなというのが公式メッセージでもあります。

相談所のアドバイスが人間不信をより強くしている

結婚相談所の取り決めとして、お見合いやデート中に「この人はないな」と思っても表面上乗り気なように見せろ、という指示があります。

これは相談所同士でのクレームを回避する目的や、会員の心理的なダメージを軽減する目的だと思いますが、正直会員の心理的なダメージは軽減できていないと思います。

お見合いですごく盛り上がって「是非次も」と言った矢先に、お断りが来たり、次のデートの約束をしていたのに断れるなど、そういった方が心理的に辛いと思うのは私だけでしょうか。 もちろん、前提として共有されているので割り切って対応するしかないのですが、こう言ったコミュニケーションを続けていると単純に広範囲の人間不信に陥り、新しく会った人にもに支障が出てくると感じました。

その他婚活辛そう記事

大筋同意

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女性側の景色はよくわからないのですが、これが参考になる気がします

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ちょっとミソジニーが入ってしまっておりその点は同意できませんが、無理して結婚したいか?という気持ちに婚活でなるのは理解できます

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活動してみての感想

男性側からみた女性

結婚相談所で会った交際が上手くいかなかった女性(とはいえ全部なのですが...)はどこか距離感を感じますし、なんで自分と会っているのか正直わかりません。 また、結婚に対しての意欲が高いようにも見えません。

毎回盛り上がっているようなそうではないようなデートを重ね、特に気持ちを伝えられることもなく解散します。(「楽しかったです」は社交辞令で、上述の「相談所のアドバイス」に沿っているものなので深く受け止めません、とは言え嬉しいですけどね...)

そう言った相手と結婚するモチベーションが、少なくとも私にはありませんでした。 そして相手から見ても、積極的にアタックする理由が私にはなかったのだと思います。

「この人がいい」ではなく「この人でいいや」

結婚相談所で成婚退会したいのであれば、多くのことを諦め最低限の条件を満たした人間とさっさと結婚してしまうことです。 逆に言えば最低限の条件を満たしていれば、それ以外の点には目を瞑る必要があります。 (ちなみに相談所で推奨される最低限の条件は 3 つ以内です)

これがお互い了承の上であれば良いのですが、お互いに「この人でいいや」と思って結婚するほど、結婚に迫られてはいない手前、やはり無理な気がしています。 逆に「この人でいいや」と思って結婚される身になったとしても、じゃあ誰でもいいだろ、となり萎えるので無理です。

そしてお互いに「この人でいいや」と思って結婚した際に、その後の困難に立ち向かえるのでしょうか。 この選択は「やっぱりこの人じゃなかった」「この人がダメになったから別の人と」となるメンタリティと隣り合わせな気がしています。

この人でいいや、で結婚している話の例

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togetter.com

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「結婚に真剣な人が多いので結婚相談所に入る」は正しいのか

正しくないと思います。

恋愛要素を少しでも期待しているのであれば、結婚相談所に入ることはお勧めしません。 もしそう言ったことを結婚相談所で求めるのであれば、活動にかなりの労力を費やすことを覚悟し、かつ相手を好きになる努力を惜しまないことが大事だと思います。 そう言った覚悟がないのであれば、時間とお金の無駄なのでやめましょう。

ちなみに相談所が宣伝に使っているような 1 % の華々しい事例の下の 99% に死体が転がっており、Twitterで相談所で結婚して楽しく生活している話とその他大勢には深い溝があり、自分たちはそちら側であることを理解しましょう。

結婚相談所に入るべき人は、スペックなど全て関係なく「とにかく結婚という事実を最短で手に入れたいので、それ以外のことは気にしない人」です。

婚姻関係の継続

結婚生活に困難が付きまとうことは周知の事実です。出産、育児、不況の煽り、失業、メンタルヘルスの悪化、家族の問題、介護、セックスレス、数え出したらキリがありません。 そう言ったことを乗り越えられる相手と結婚をしたいし、しなければ家族や子供にも迷惑がかかりますし、不幸を生み出すだけだと考えています。

それを乗り越えられるだけの胆力を短い期間にデモンストレートすることは、かなり意識的にやらないと無理です。 特に女性側は、平均から見れば「尽くす」レベルでやらないと見えてこないのかなと思います。 なので、相手がそういう振る舞いをしてこない場合、相談所ではそう言った点には目を瞑って、ある意味直感で賭けに出るような結婚しかできないのではないかというのが所感です。

しかし、そのような直感での結婚に、果たして継続性があるのでしょうか? 結婚はやってみて失敗した、をするにしては少し代償が多い行為なので、離婚が視界にちらつくような関係性の人との結婚はやはり躊躇してしまいます。

結婚生活の維持自体にも多くの労力を割くからこそ、そこに覚悟を持てるだけの何かがないと、婚姻関係が破綻すると思います。

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dic.nicovideo.jp

(ストーンオーシャン、面白かったですね、プッチ神父今までで一番好きな敵役でした。)

妥協、割り切り、あるいは諦め、あるいは大人になるということ

ではどうすれば結婚相談所で結婚できるのか。

それは割り切って、妥協して、諦めることだと思います。 自分と相手のダメなところは全て背負った上で、相手に何も求めず全て自分で解決する覚悟で結婚をするということになります。

それは相手を背負う責任を持つことであり、所謂男らしさであるのかなと思います。 世間ではこれを大人になると言います。

正直にいうと、今の私には重すぎる選択です。

大人になるための方法

大人になるため(というと聞こえはいいので、要するに全ての諦めがつくため)の方法として、自分はやり尽くすしかないのかなと思っています。

全てをやり尽くし、この道しかないということが明らかになって初めて、諦めに至り、一つ大人になれるのかなと...。 その為に、相談所に限らずできることは何でもやって、境地に辿り着ければと思ってます。 その上で、結婚したいのかどうかも、また考えたいと思います。

スタンドアローンとパートナー

そもそも私が結婚したい理由は「一人では生きられない」と思ったからなのですが、これは間違いだったようで、一人で生きられないと(大人にならないと)結婚はできないようです。

人を愛する為にはスタンドアローンで生きて、経済的にも精神的にも自立し、自分の機嫌を自分で取れる人間になる必要がありそうです。

よく思い出す素敵な結婚像

fujinkoron.jp

現実

しかし、スタンドアローンで生きれる人間になった暁には、おそらくパートナーは必要ありません。 上述の通り、全てを一人で背負う覚悟を持った時、それは孤独でしかないと思います。

スタンドアローンの実態は、多数の依存先を求めるというような振る舞いになると思いますが、それは結局のところスタンドアローンではなく一種の共生関係の延長だと思います。 この比率は時間の経過とともに変わっていきますし、いつかバランスを崩します。 家族は死に、友人のライフステージは変わって疎遠になり、会社からはいつか見放されます。 その中でスタンドアローンを維持すること、つまり依存先をメンテナンスし続ける行為が「真のスタンドアローン」であると思いますが、多くの人は維持できず狂っていくのではないでしょうか。

anond.hatelabo.jp

私はつながり無しには生きられないと思います。我々は社会という繋がりの中で生きており、知らずのうちに誰かに支えられて生きています。そして、目にみえるつながりも欲してしまう悲しい性があると思います。

全てを一人で背負う覚悟による孤独ではなく、一人苦しんでいる時に隣で背中を押してくれるような、そんなパートナーに巡り合い、結婚というフォーマットで強い土台を築くということが、こんなにも贅沢なことだとは思いませんでした。

この孤独が癒えないのであれば、結婚をする意味はないなと思っているので、その辺りも見極めたいと思います。

結び

ちょっと元気がなくなってきたので、この記事はこの辺りで(後日元気が出た時に書き足すかもしれません)。 とにかく今年は疲れたので、来年は良い年になることを祈ってます。